〇一念三千と十界互具〇

(創価学会教学部初級試験・教学入門より)
①一念と三千
日蓮大聖人が、末法の万人成仏のために南無妙法蓮華経の御本尊を御図顕された理論的支柱の一つとして、一念三千の法理があります。
一念三千とは、法華経に説かれている一切衆生の成仏の原理を、中国の天台大師が『魔訶止観』の中で、実践のために体系化して説明したものです。

「一念」とは、私たち一人一人の瞬間瞬間の生命のことです。「三千」とは、「諸法」すなわち、すべてのものごと、あらゆる現象・はたらきを いいます。


この一念に三千の諸法が具わっており、一念が三千の諸法に遍く広がることを説いたのが一念三千の法理です。


生命の無限の可能性を示す

希望と変革の原理

瞬間瞬間のわが生命に、”無限の可能性”が秘められており、

自身の一念が変われば自身を取り巻く環境も変わり、ついには世界をも変えて いけるという希望と変革の原理が一念三千の法理です。


池田名誉会長は、小説「人間革命」の主題を、「

一人の人間における偉大な人間革命は、やがて一国の宿命の転換をも成し遂げ、さらに全人類 の宿命の転換をも可能にする

」と記しています。これは、一念三千の法理の意義を現代的に表現したものといえます。
②一念と三千
日蓮大聖人は「観心本尊抄」で、一念三千について示した天台大師の『魔訶止観』を次のように引用されています。
「夫れ一心に十法界を具す一法界に又十法界を具すれば百法界なり一界に三十種の世間を具すれば百法界なり一界に三十種の世間を具すれば 百法界に即三千種の世間を具す、この三千・一念の心に在り若し心無し而己介爾も心有れば即ち三千を具す」(御書238P)
--<通解>心には十界が具わっている。それぞれの一界に、さらに十界が具わっているので、百界になる。そして、その一界に三十種の世間が 具わっているので、百界には、すなわち三千種の世間が具わっている。
この三千種の世間は、一念の心にある。もし心が無ければそれまでのことである。もし心が無ければそれまでのことであるが、たとえわずか でも心があるならば、そこに三千種の世間が具わるのである。--
わずかでも私たちの「一念の心」があるところ、「三千種の世間」が具わるということが示されています。
「世間」とは”違い”という意味です。「三千種の世間」とは、さまさまに違った様相を示すあらゆるものごと、「三千の諸法」です。

「三千」とは十界互具と十如是、そして三世間を合わせて総合したものです。

(百界×十如是×三世間=三千)。十界と十如是と三世間 という、それぞれ異なった角度から生命とその因果の法則をとらえた法理を総合し、私たちの生命と世界の全体観を示したものが一念三千です。
  (1)十界互具  一念三千の中核の原理となるのが「

十界互具

」です。